2007年12月09日

ベオウルフ/呪われし勇者

 2007年12月1日に公開されたこのアクション映画は、レイ・ウィンストンさんやアンソニー・ホプキンスさん、アンジェリーナ・ジョリーさんたちが画面に映し出されるのですが、実はモーション・キャプチャーの技術により取り込まれたフルCGアニメ映画なのです。






 気持ち悪いほどにリアル過ぎるアニメは、ロバート・ゼメキス監督が提唱するパフォーマンス・キャプチャーという3Dを再現する技術によって作られているのです。そのため、この3D技術のことを前面に押し出した宣伝をしているのですが、以前に同じパフォーマンス・キャプチャーを使って作られた“ポーラ・エキスプレス”という2004年の作品は、歴代映画の中でもトップクラスに入る1.50億ドルもの巨額の制作費を使ったものの、本土では1.75億ドルの興行収入しかなかったことを忘れていないaliasなのでした。

で、今回はデジタル3-Dシネマでの公開もありました。従来の3D映画は片方ずつ色が違う赤と青のメガネをかけて観るというスタイルでしたが、今回のデジタル3-Dシネマ形式ではデジタル3D専用のシルバースクリーンに張り替えられ、プロジェクターには専用のレンズ(Z-Screenレンズ)を装着し、色の再現が損なわれない3Dメガネを使用していました(従来のように色が付いていないし、眼鏡の上からでも装着できるのです)。そのため、設備がない施設では公開できないので、日本ではワーナーマイカル系の20劇場と他の劇場を含む全国29館でしか観られない上に、鑑賞料金も2000円と少しお高めなのでした(このめがねはお持ち帰りできるのですが、いったい何に使えというんだ?)。


 2005年に、CGアニメ技術の進歩で驚かされた作品として、ファイナルファンタジーVII アドベントチルドレンというカメラアングルなど未来を感じたアクション作品があったので(ストーリーはぼろぼろでしたけどね…)、この映画の予告編からも何か新しいものを感じたaliasは映画館へと足を運んだのです。



 物語は、六世紀初頭、まだデルと呼ばれていた頃の古代デンマークにはフロースガールと呼ばれる王がいた。絶大な権力を持つ彼は、毎晩のように宴を開きこの世を謳歌していたが、酒宴の騒ぎを嫌ったグレンデルと呼ばれる異形の怪物に襲われ、部下を含め多くの者たちが殺されてしまう。その事件以来、酒宴を禁止しひっそりと暮らしていた王の下へ、海の向こうから勇者と呼ばれるベオウルフが14人の兵士たち共に駆けつけた。王より退治を命じられたベオウルフは、再び酒宴を開き怪物を呼び出そうとするが、武器も持たない怪物と対等に戦うため、鎧を脱ぎ捨て武器も持たずに裸一貫で戦うことで、本当の勇者であることを証明しようとする。そして…。



この作品に関しては英国最古の文学のひとつであることや、ロード・オブ・ザ・リングなどのファンタジー作品に影響を与えた物語として大々的に宣伝していたのです。そのため、教訓や因縁的なものを2部構成で画く王道の物語は、怪物やドラゴンと戦う英雄譚なのです(宗教的な下地があるので日本人としては少し解りにくいかも?)。

でも、酒宴で酔っ払った男たちがケ’蕎3s*}やシ彌%.4なことなど下品な言葉を言ったり(18禁な言葉は文字化けするシステムなのです)、なぜかベオウルフが裸で戦う設定のため2jミ薙gレをぎりぎりで隠すB級映画的に笑える演出をしたり(これも18禁なのです)、この物語のキーポイントなる妖艶な宿敵として現れるアンジェリーナ・ジョリーさんがボディーペインティングしかしていないような露な格好で登場するのですが、氣@ソ雌7;テ]が見えてしまいそうな映像なので(文字化けしすぎだ!)、R指定の必要性を感じる子供には見せられないような映画なのです。

なのですが、すべてはCGなので、決して画面にそれが映し出されることはありませんし、R指定のぎりぎりの境界線まで挑戦しているような、女性のエロさと男性のマッチョさなどの肉体美を追及した映画でもあるのです。

予告編を観てると、アンジェリーナ・ジョリーさんが主役級のように出演していると思っていたのですが、彼女が映し出されるシーンは10分にも満たないほど短い出演シーンになっているのです。なのですが、彼女が裸同然の格好として映画で扱われていても問題がないほど、この映画の重要な人物としておいしい出演なのでした(今回、主人公のマッチョな肉体がCG加工で作られていたことは有名なのですが、すでに32歳のアンジェリーナ・ジョリーさんの肉体はどれぐらい補正されてたんだろ?)。


 この作品は実写のようなアニメ映画なので、背景や肉体などはリアルに見える映像にはなっているのですが、物理的なものが人物に当たったときにゆがむ肉体の表現や髪の毛の動き、俳優たちの表情描写などを見ていると、まだまだ実写映像とはかけ離れ、作り物であることを再認識させてしまう程度のものなのでした(でも、小さなテレビで観たら実写と間違えるかも?)。しかし、物語の中盤ぐらいに差し掛かるとその違和感もなくなり、カメラでは決して撮ることのできないアングルや視点移動、さらに3Dということもあり、怪物やドラゴンと戦うシーンには圧倒的な迫力と魅力のある映像となっていました(でも、アトラクションのように展開するアクションはあまりにアピールし過ぎた映像だったので、少し鼻につくのです)。



 実写映画では演じる役者さんがその場で思いついたような演技が反映され名場面となったり、再現不可能なシーンを別の方法で撮影したことで斬新な映像になってしまったり、現場の雰囲気を活かした映画など、現場での苦労を宣伝した映画もたくさんありました。でも、ここまで映像を作れるようになった現在では、役者というネームバリューや演技力、体形すら気にする必要もなく、監督の脳内にある映像だけですべてを作り出すアニメ製作現場と変わらない時代になってきたことを感じました。

そして今回、体や表情などすべてをデータ化されたアンソニー・ホプキンスさんやアンジェリーナ・ジョリーさんは老いてしまったり、亡くなってしまったとしても、別の人物が演技をしてバックアップされた彼らの顔に張り替えるということを永久的にできてしまう事となり、肖像権に対する新たな利権も生まれてきそうな気もします。

さらに、“ほしのこえ”や“秒速5センチメートル”などのアニメ作品をほぼ一人で制作した新海誠さんのように、10年後ぐらいに素人でも簡単にCG動画技術を駆使できるようになったら、どんな作品ができてくるんだろう?と思いを馳せてしまったaliasなのでした。

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映画「ベオウルフ/呪われし勇者」
Excerpt: 原題:Beowulf いかにも本物っぽくないものがいっぱい登場してくる・・だけどいつのまにかすっかりそのデジタルシネマの、英国文学最古の英雄叙事詩の、世界に浸れる・・ ここは6世紀..
Weblog: 茸茶の想い ∞ 〜祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり〜
Tracked: 2007-12-11 00:52

ベオウルフ/呪われし勇者 観てきました
Excerpt:  今回はベオウルフ/呪われし勇者を観てきました。いつも行く映画館ではこの映画を上映しているシアターは広いだけで音響良くないし、椅子が狭いし・・・。でも自由席で広いので後ろに人が座る可能性はほとんどなく..
Weblog: よしなしごと
Tracked: 2008-01-11 03:14
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