2007年07月01日

モンスター

 この映画で、第76回アカデミー賞の主演女優賞を受賞したシャーリーズ・セロンさんなのですが、体重を13kgも増やして役作りをしたことでも有名なのです。

180cmもある彼女の身長のことを考えると、日本女性が思っているほど13kgという増量自体は体形に与える影響は少ないような気がしていたのですが、映画を観ていると体重の変化以上に体形のバランスが崩れ、たるんだ二重アゴや脂肪におおわれた下腹部、シミだらけの肌、伸びたままになっている髪など、想像以上に肉体が変貌していたことに驚いてしまったaliasなのでした。


 物語は、1986年のアメリカで売春婦であったアイリーン・ウォーノスは、生きることに疲れ果て自殺しようと考えていたが、全財産である5ドルを使い果たしてから死のうと思い入った酒場で、セルビーと出会い親しくなってしまう。ゲイであったセルビーに最初は嫌悪感があったが、アイリーンと同様に彼女も同性愛者として世間や家族から疎外感を感じていたことに共感してしまう。やがて、アイリーンは生まれて初めて他人から受け入れられることの喜びを知り、セルビーとの二人での生活を始めるためにお金が必要だった彼女は、もう一度、娼婦として路上に立つ。だが、彼女を買った男に拘束され暴力をふるわれ、死の危機に瀕した彼女は銃で彼を撃ち殺し、一度目の殺人を犯してしまう。とりあえず金を手に入れた彼女は、セルビーとの逃避生活を送る。そして二人は…。


 この映画では、社会的弱者であったアイリーンの人生を切なく画く物語なのです。

売春婦をすることしか生活の手段が無かったことや、
住む家さえ無い彼女はホームレスと変わらない生活だったり、
中年になってから初めて恋というものを知った彼女の人生であったり、
身だしなみを整えるには公共トイレの水だけで髪を整えるしか方法が無かったり、
真っ当な生活を送りたいと思った時に殺人という犯罪を行ってしまった運命の皮肉さ、
セルビーとの生活のため殺人を繰り返すことしか思い付けなかった彼女の悲しみなど、
連続殺人犯として逮捕される彼女には彼女なりの悲しい理由があったことを画く、切ない描写で物語は進んでいくのです。

でも、この作品はアイリーンとセルビーが出会ったところから始まるのですが、彼女が性的虐待や母親が父親を撃ち殺した話など壮絶な過去の部分が言葉だけで説明されるので少し感情移入しにくいところがあるのです。さらに実在の人物であるアイリーンさんが2002年に処刑になった翌年に映画として公開されたことが、機を狙ったように見えてしまうことが、マイナスイメージな映画でした。


 この映画の中ではアイリーンの連続殺人に拍車をかけたセルビー(クリスティーナ・リッチ)は、アイリーンとは別の意味でのモンスターという画かれ方がしているのですが、アイリーンに頼りにして心も身もゆだねていた幼く世間知らずな少女だったことを考えると、一方的に彼女が悪いと言うことも出来ないのです。

ハッピーエンドとは程遠い結末になる暗い話なのですが、見方によってはアイリーンにとっての最低限のハッピーエンドとも受け取れる部分があったり、人間の感情の複雑さや、人の評価の難しさもあらためて考えさせられた映画なのでした。


 そういえば、彼らが逃避行の旅に出るシーンとき、ダスティン・ホフマンさんの“卒業”を思い出してしまいました。卒業のラストシーンでは、結婚式場で花嫁を奪い恋の逃避行へ向かう二人なのですが、それから後のことを何も考えていなかったため、不安になる二人の表情を映し出した絶妙なラストシーンだったのですが、その後日談を画くように二人の生活が破滅していく物語でした。

シャーリーズ・セロンさんが醜い体や汚い言葉を話す女性に変身する体当たりの演技はすばらしかったのですが、もし、元の彼女の美しい姿を知らなかったり、無名の新人役者さんだったら、この物語にここまで感情移入できたのだろうか?とも考え込んでしまったaliasなのでした。



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