2007年06月24日

暗いところで待ち合わせ

光をなくした女、闇を抱える男。殺人事件から始まった不思議な共同生活。


 週に1冊は本を読むaliasなのですが、この映画の原作者である乙一さんの本はタイミング悪く今まで逃してきたので、作家の世界観を含めて楽しみに映画を観てみました。


 物語は、駅のすぐそばにある高台の一軒家に住むミチルは、事故により視力を失ってしまった。それ以来、外出することに怯えていた彼女だったが、唯一の頼りの存在だった父が亡くなってしまい、友人と一緒に出かけるとき以外は家の中に引きこもっていた。

一方、在日中国人として職場で孤立していたアキヒロは、殺人犯として追われる身となってしまった。彼は殺人現場のそばにあるミチルの家に逃げ込むことを決意する、彼女のことは知らないが盲目であることを知っていたため。彼女に気付かれないよう息を潜める彼と、何も知らない彼女との奇妙な生活が始まるが、彼女はただ家の中に引きこもり、彼は毎日犯行の行われた駅の現場を見下ろすだけ。そして、二人の生活に変化が…。


 一つひとつのエピソードはありがちでどこかで見かけたような設定なのですが、トータルの作品としてみると不思議って言うか、奇妙って言うか、変な物語なのでした。

原作のうまさにも驚いたのですが、田中麗奈さんの演技はすごかったのです。光を失い世間へ出ることに対して怯えてしまうところや、父親が死んでしまったことにより初めて内に秘められた感情を吐露するところなどが見事に表現されていました。

そして、相手役である台湾出身のアジア全域で活躍するチェン・ボーリンさんは、たどたどしい日本語しか話せないのですが、部屋の中で静かに息を潜める日本語がほとんど必要ない役どころなので、特に問題ないなかったのです(おいおい)。


 この奇妙な関係が築かれた不思議な空間では、お互いのコミュニケーションが介在することは無かったはずなのに、いつの間にか相手の存在のおかげで心強く思うようになったり、相手のことを密かに心の中で応援していたり、相手の存在を認めたりするシーンなど、独特な間合いが楽しめました(たぶん、ハリウッドなどの欧米では受け入れらない、日本独特のセンスなのです)。

そして、アキヒロが外国人として執拗に虐められるシーンや、ミチルが頑なに外出を怖がる設定など不自然な展開があるので、泣ける映画にするための過剰な演出なのかな?と思っていたら、ミステリー小説のようにロジックが仕掛けてあったりするので、普通の映画ではありませんでした。


 エピソードには物語を成立させるための多少の矛盾点が気になってしまうのですが、映画の題名やDVDのパッケージを見ていると、ただの泣かせる物語だと思っていたので、この意外な物語を楽しませてもらいました。

こんな奇妙な設定を生み出す作家さんといえば西澤保彦さんか、東野圭吾さんぐらいしか知らなかったので、乙一さんの世界観にも触れてみたいと思ったaliasなのでした。

(ということで、原作を読んでみよっと!)


暗いところで待ち合わせ プレミアム・エディション
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