なのですが、同時期に、
ZARDの坂井泉水さんが亡くなったり、
森理世さんがミス・ユニバースで優勝したり、
ナントカ還元水の松岡農水大臣が自殺したと発表されたり、
藤原紀香さんと、陣内智則さんとの結婚披露宴が挙行されたり、
年金記録不備問題など、話題に事欠かない時期に受賞したため、ほとんどニュースでは扱われなかったさみしい作品なのです。
さらに、NHK協力で製作されたためなのか、映画館で放映される前の5月29日にNHKのBSハイビジョンで放送されてしまい、カンヌ受賞作品としては悲しい興行になってしまった映画なのでした。
で、題名が“殯”という通常使わない難しい漢字が使われているのですが、そのため、ネットでは“殯(もがり)の森”と“殯の森”の2種類が表記され、検索結果がうまく表示できない状態になっていました。なので、最初から“殯の森(もがりのもり)”と統一表記にしておけば良かったのに…と、余計なお世話な事ばかりを考えているaliasなのでした。
物語は、奈良県の北部の自然豊かな地に、旧家を改装して作られた軽度の認知症を患う人達が共同生活を送る施設があった。その老人の一人であるしげきは33年前に亡くした妻への思いを秘めたまま日々を送っていた。そこへ子供を亡くしたことをきっかけに離婚をしてしまった真千子が新しく介護福祉士として派遣されてくる。この仕事に自信がなかった真千子だったが、初対面では偏屈に見えたしげきたちにも心打ち解け始める。だが、しげきの妻の墓参りに出かけた森の中で、事態は思わぬ方向へ向かう。そして二人は…。
この映画中で使われる“殯”とは、喪上がり(もあがり)という言葉が語源とされる古代の儀式の事になり、天皇や豪族など貴い身分の方が亡くなったとき、すぐに本葬はせずに、仮の場所に遺体を安置して、しばらくの間を弔うことを指すのです。
なので、亡くなった人のことを思う暗いテーマを扱っているのですが、奈良の美しい風景を切り取りながら、年を重ねた老人が子供のような精神状態に戻っていく姿や、殯の森で迷い込むところなど、主演のうだしげきさんと尾野真千子さんが巧みな演技で、生と死、そしてその狭間にあるものを見事に表現していました。
そんなシンプルでありながら深いテーマまで画いた作品なのですが、とても物語の中に入り込みにくい演出となっているのです。
例えば、物語の冒頭があまりに地味すぎて途中で観客の方が飽きてしまうような展開や、字幕が必要になるほど聞き取りにくい方言や小さな声だったり、さらに物語の演出が不親切なため映画を観るだけでは理解しづらくなっていることなど、エンターテイメントな作品に慣れてしまった一般の人々には、睡眠へと誘う映画となっていました(おいおい)。
奈良の美しい風景と日本独特の文化を画いていることを評価されていることは分かるのですが、相変わらずカンヌの受賞作品の選考基準が理解できないaliasなのです。
でも、
「世界の黒澤、大島と言われる中の、次の世代の代表として河瀬があると思っています」と自分で言い放つことが出来てしまう監督のセンスが一番理解できないaliasなのでした(笑えない)。