木村拓哉さんが時代劇に挑んだということで、ずいぶん話題になりましたが、日本アカデミー賞などでも多くの部門にノミネートされていたみたいです。
で、この映画の記者会見の際には、木村拓哉さんとヒロインの檀れいさんとのツーショット撮影が禁止されていたそうです。当時、二人が不倫の噂がささやかれていたので、二人の熱愛ぶりが画面から滲み出ないようにするため禁止されたのではないか?と言われてたようですが、映画の話題を盛り上げるためのでっち上げだったのかも知れませんね。
一作目のたそがれ清兵衛では、時代劇であるもののチャンバラをメインには画かず、何気ない日常をメインしていましたが、ひとたび戦いのシーンになると、生々しいほどの展開になり、畳に血が飛び散る音までもリアルに再現してことに驚かされた記憶があったので、楽しみに映画を観てみたaliasなのでした。
物語は、下級武士であった三村新之丞は、剣術も長け、秀才と呼ばれる男であったが、現在は毒見役という役目を仰せつかっていた。主君を毒殺から守るためとはいえ、毎日食事をするだけの退屈な仕事であったが、気立てが良く美しい妻である加世との幸せな生活に満足していた。しかし、新之丞は貝の毒にあったってしまい、3日間の生死をさまよってしまう。奇跡的に助かった彼に残された代償は失明という現実だった。一度は死を覚悟した新之丞だったが、妻の説得により生きることを選んだ。だが、不自由な生活と将来が不安になる中、生活の保障を名目に妻に付け入ろうとする上役がいた。そして…
時代劇なので、木村拓哉さんはヅラをかぶっているのですが、これが彼には全く似合わないのです。彼の髪の毛の量が多いためなのか、額の部分が大きくなってしまい、何かを乗せた様な不自然な形になっていました。
そんな気になる点はあるのですが、立ち振る舞いや殺陣などは驚くほどうまかったのです。それに、木村拓哉さんはどんなドラマでも木村拓哉な演技なのですが、この映画の雰囲気に溶け込んでいました。
そして、宝塚出身の檀れいさんとの何気ない会話や食事などを何度も画くのですが、後半には物語が殺伐としていく雰囲気の中、日常や平凡な生活の中にこそ、大切なものがあるというシンプルに感動できるストーリになっていました。
なのですが、この監督は3部作を通じて、同じ内容しか画いていないのです。例えば、水戸黄門のようにうっかり八兵衛さんが毎週うっかりしたり、由美かおるさんのお約束のお色気シーンがあったり、8時45分に印籠がでてきたりするのと同じような既視感があるのです。
平凡な下級武士の主人公の日常と愛の大切さを画き、その大切な生活を上役や藩命により壊され、最後は一命をかけた果し合いに臨むという同じ展開の物語になっているのです。封建社会と武士道の矛盾までも画き、一つひとつの映画としては完成度は高いと思うのですが、シリーズ作品として見ると厳しいものがありました。
ということでこの作品はいまいち楽しめなかったのですが、 “釣りバカ日誌”や、“男はつらいよ”などのシリーズを延々と画いてきた山田洋二監督らしい作品だな!とも思ったaliasなのでした。
武士の一分
