2007年04月26日

ハンニバル・ライジング

 この映画は1991年に公開され、第64回アカデミー賞で5部門を受賞した“羊たちの沈黙”のシリーズ作品になるのです。はじめて観たときは、斬新でいて難解なストーリーという印象だったのですが、あらためてこの作品を観ると、今でも色あせていない良く出来たサスペンス映画という印象でした。

当時は複雑に思えた内容が理解できたのは、aliasが大人になったためなのか?この映画にリスペクトした映画が多数作られ、手法が定番化したためなのでしょうか?



羊たちの沈黙〈特別編〉



 で、高いIQを持ちながらナチュラル・ボーン・キラーであるハンニバル・レクターさんの子供時代から画いた物語なのですが、この作品は原作のトマス・ハリスさんが脚本まで手掛けているのです。

当初は1937年生まれであるアンソニー・ホプキンスさんを、若作りにCG加工して映画を撮る予定だったのですが(おいおい)、当然のように主役要請は断られ(普通の神経の持主なら断るって!)、ギャスパー・ウリエルさんが主演となりました。

かっこいいだけでなく、あどけなさの魅力もある人なのですが、美しいほどの彼でさえ、年を重ねるとあんなおじさんになるのか〜と考えると、別の意味でリアリティある配役だと思ったaliasなのでした(アンソニー・ホプキンスさんのファンの方々に怒られるぞ!!)。


 物語は、リトアニアの貴族の息子として生まれたハンニバルは、第二次世界大戦の渦中で両親を亡くしてしまい、妹であるミーシャと共に冬の訪れる山小屋の中に幼い二人だけで隠れ住んでいた。しかし、戦災の混乱に紛れ、略奪などを繰り返している犯罪者たちに見つかり家を占拠されてしまう。深く雪が降り積もる中で居座り続ける彼らだったが、悪天候のため食料確保も出来ず備蓄も無くなり飢え細っていく現状に、彼らは病気だったミーシャを殺し…。

8年後、戦災孤児だったハンニバルはパリに住む叔父の下へ訪れるが、すでに彼は亡くなっていた。だが、義理の叔母に当たるレディー・ムラサキに温かく迎えられ、医学生となる。普通の暮らしを手に入れた彼だったが、毎晩妹を殺した犯罪者たちの悪夢に悩まされる。そして復讐を誓った彼は…。


 レディー・ムラサキという人物をコン・リーさんが演じているのですが、海外ではレディー・ムラサキは紫式部の事を指す言葉ということに、どれくらいの日本の人が気付けるんだろ?


 今回はハンニバルさんのルーツに迫る作品となるので、将来においてカニバリズム(人肉嗜食)の殺人鬼となった彼の過去の出来事が重要になるのです。

なのですが、純粋な子供だった彼がサイコ・キラーとなる過程で、日本の文化に触れてから残酷な殺人者へと変貌し始めるのです。この映画の中では武士道や剣道などをレディー・ムラサキから手ほどきを受けるのですが、人を殺す技術や思想など彼の異常心理の原因を、東洋の神秘にというものに押し付けたような無理のある展開となっているのです。

こんな設定になっているのですが、これまでのシリーズのレクター博士で画かれる日本文化としては、室内装飾としてアジア系の仏像や置物があったことや、彼が折り紙の鶴を折っていたことぐらいしか思い出せないのです。それに、日本人としてはこの人物設定や日本文化の扱われ方が、ハリウッド映画でよく見かける東アジアの文化を混同しているような印象になってしまうのです。

さらに、羊たちの沈黙などの作品で、拘束具に縛り付けられた印象的なシーンがありましたが、今回は日本の甲冑をそれに見立てて彼が楽しむシーンがあるのです。過去の作品にリスペクトしている事は分かるのですが、彼は好んで拘束具を着けてる訳ではないはずなんだけど…。


 冷酷でいて幼児性を残す殺人者で、残忍に行われる人間の解体、妖艶に映える恍惚の表情など、陰惨でありながら美しさを感じさせるギャスパー・ウリエルさんの演技には見惚れてしまいました。

そしてエピソード中には、羊の夢に毎晩悩まされていたクラリスに執着するハンニバルの理由など、旧作品へ回答するシーンが幾つか盛り込まれています。でも、アメコミのヒーローみたいな復讐劇な展開にされてしまうと、ハンニバルのシリーズ作品としては納得しにくいストーリーでもありました。



ハンニバル・ライジング スタンダード・エディション
ハンニバル・ライジング スタンダード・エディション



 aliasはトマス・ハリスさんが画く作品はアメリカの小説家としてはお気に入りな人になるのですが、今回は驚かされる展開の無い安直な物語という印象を受けてしまいました。

彼は、映像に対する脚本家としては向いていなかったのかな?

とりあえず原作を読んでみよっと!!



ハンニバル・ライジング 上巻 (1)
ハンニバル・ライジング 上巻 (1)



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