なので、日本では何でこんな作品タイトルしたのだろう?思っていたのですが、小林旭さんの代表作“渡り鳥シリーズ”と区別するために、こんなタイトルにしたのかもしれませんね(たぶん違う!)。
ギターを持った渡り鳥

36000キロ以上の旅をするキョクアジサシなど100種類以上の鳥たちの姿を収めたこの映画は、空からの映像を撮影するための17人のパイロットや撮影監督、専門家たちなど6チームをも結成し撮影が行われたのです。その結果、約3年にわたり撮影されたフィルムは300時間以上にも及び、20億円もの膨大な制作費となった映画なのでした。
渡り鳥たちが春の訪れと共に繁殖のために北極を目指すところから物語は始まるのですが、自然や人間などの脅威、外敵などを乗り越えて旅する彼らは、最後には同じ故郷へ帰ってくるということをテーマにして画くのです。
物語にはナレーションもほとんどなく、鳥たちが羽ばたく姿を延々と画面に映し出すだけなのですが、300時間以上のフィルムを人間が意図を持って編集しているため、鳥たちの動きだけでも飽きることなく物語が展開していくのです。
この作品ではあらためて空を飛ぶ鳥の美しさを感じてしまいました。人間と違い空を飛ぶために無駄な脂肪や筋肉もなく、種としてそれぞれの進化を遂げた鳥たちを観ているだけでも楽しめるのです。
で、CGを一切使用していないと宣伝していたこの映画の映像で驚かされるのが、鳥たちとの密接過ぎるカメラアングルなのです。編隊飛行している鳥たちと一緒に旅しているような気分になるほどの迫力の画像になっているのです。
多くのスタッフや時間、予算を使ったこと、音の静かな軽量航空機などで撮影したこともありますが、物語の主軸となる約40種類1000羽の鳥たちは、卵の頃からスタッフや撮影機材など人間の環境に馴らせた結果、警戒心のない鳥たちとの一体感のある映像になっているのです。
なのですが、人間が介在しているために鳥の不自然な行動やシチュエーションなどが多少あったのです。そして脱落する鳥や親とはぐれる小鳥たちなど厳しい旅は画かれますが、野生としての鳥たちの行動や生々しい自然の掟のようなものは子供でも観られるぐらいの内容に抑えられていました。
そんな映画ですが、スタッフたちの鳥への思いや愛情などが詰め込まれた作品となっていました。
ということで、普段見ることのできない鳥たちのかわいい仕草などにかなり癒されはしたのですが、物語の途中で、様々な障害を通り抜け長距離を旅する渡り鳥たちが鳥インフルエンザを運んでいるという事実を思い出してしまい、癒され切れなかったaliasなのでした(おいおい)。
WATARIDORI スタンダード・エディション
