2007年02月15日

ドリームガールズ

 第79回アカデミー賞で最多部門にノミネートされたのですが、残念ながら一番大事な作品賞の候補からは外されたのです。これはアカデミー史上、初めての出来事なのです(かわいそうに…)。

映画の原作となるのは1981年に発表された同名作品のブロードウェイ・ミュージカルで、約4年間に渡り1522回公演が行われたほどの作品だったそうです。

で、物語は一応フィクションという形にはなっていますが、1959年に設立された“モータウン”というレコードレーベルで、かつてダイアナ・ロスさんが所属していた“ザ・シュープリームス”(スプリームス)をモデルにして作られたみたいです。そして、落ちぶれてしまった歌手としてジェームス・ブラウンさんをモデルにした人物も出てくるのです。



Motown Legends: My World Is Empty Without You
Motown Legends: My World Is Empty Without You





 ということで、1960〜1970年代にヒットしたモータウン・サウンドと呼ばれるブラックミュージック、ソウルなサウンドで、ショー・ビジネスの裏側を画いたミュージカル映画を観てきたaliasなのでした。


 物語は、リードボーカルのエフィー・ホワイト(ジェニファー・ハドソン)、ディーナ・ジョーンズ(ビヨンセ・ノウルズ)、ローレル・ロビンソン(アニカ・ノニ・ローズ)の3人で結成したドリーメッツは、子供の頃からアマチュアのコンテストに何度も出場していたが、なかなか主催者たちには認められなかった。だが、彼女たちの原石のように輝く才能に目を付けたカーティス・テイラーという野心的なマネジャー(ジェイミー・フォックス)がいた。彼は、実力はあるが女にだらしないため女性歌手から共演を断られてしまうジェイムス・サンダー・アーリー(エディー・マーフィー)の元で、バックコーラスとしてドリーメッツを週400ドルの契約でデビューさせた。

ついに、彼らは地方のヒットチャートにランクされるようになり始めるが、その曲を白人から堂々と盗用される。しかし、黒人差別が残っていた時代では世間の話題にさえならなかった。そのため、カーティスは多量の裏金を捻出し、ラジオDJなどを買収し世間に彼らの存在を認知させようと画策する。

やがて有名になり始めたドリーメッツはザ・ドリームスと改名しメジャーデビューをすることになるが、マネージャーは歌手として才能が秀でたエフィーから、美貌の持ち主だったディーナにメインボーカルを変更する事を決断する。一時的には納得したエフィーだったが、彼女の不満は日ごとにたまり、グループを崩壊させるほどの不協和音を響かせる。そして…。



 まさにアメリカン・ドリームを体現し夢をつかんだ少女達とそれに取り巻く人々をテーマにしているのですが、最初は400ドルの給料に満足していた彼女たちが、成功と共に金を手に入れ高飛車になり、やがて凋落していく姿まで画いているところが生々しいのです。それに今では日本公開の映画ではほとんど見かけないエディー・マーフィーさんが、落ちぶれた歌手を演じているところが現実にリンクしていて、さらに生々しさが強調されるのです(エディー・マーフィーさんのファンに怒られるぞ!)。

映画の主人公は、R&Bの歌手だったレイ・チャールズさんの半生を画く“Ray”という映画で第77回アカデミー主演男優賞を受賞したジェイミー・フォックスさんなのですが、ミュージカルに展開されるこの映画の中ではほとんど存在感もなく、クレジットでは2番目に表示されるビヨンセさんに主役を奪われてしまっているのです。そして、そのビヨンセさんですら、美しいが平凡な歌声な歌手という扱い方をされ、この映画の本当の主演と言っても過言ではない、少し太ったジェニファー・ハドソンさんが美しく心に届くようなソウルな歌声を響き渡らせていました。

ミュージカル映画の定番として、主人公の感情や思いなどを楽曲に昇華させ、一人の人間の内面を切々と歌い上げるイメージがあったのですが、この映画ではゴスペル的な音楽や曲を転調させる事など手法を凝らし、ひとつの曲に様々な人物を登場させ、相反する感情をぶつけ合うというところがすごいのです。そして、元リードボーカル役のジェニファー・ハドソンさんとビヨンセさんが仲間割れをして罵倒しあうシーンには圧巻という言葉しか出てきませんでした。



 aliasとしてはストレートに展開するこの映画にかなり心を震わされたのですが、あまりひねりがないエンターテイメントな作品だったため、アカデミーの選考からもれてしまったのかも知れませんね。

それに、この映画にはアメリカにおいての黒人差別の歴史を前提にされた脚本になっているため、日本人としては分かりにくいシーンやジョークがちりばめられているのです。

でも、黒人として虐げられてきた彼らがアメリカン・ドリームを体現し強者になってしまった後に、今度は彼らが弱い者を虐待してしまうシーンなど、スターとしてのプライドや葛藤など、悲しみとか、憎しみとか、つらさなどの、ショー・ビジネスに関わる人達の生き様や心理描写、そして愛というものを見事に画き切った作品なのでした。



ドリームガールズ スペシャル・コレクターズ・エディション
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-------------------------------追記----------------------------------------------



 で、aliasの注目のポイントはドリームガールズの4番目のメンバーであるシャロン・リールさんなのです。彼女は海外ドラマである“ボストン・パブリック”という作品で、音楽教師役を演じていたのです。ドラマの中で美しい歌声を披露する場面もあったのですが、何気ない仕草をキュートに魅せる彼女が印象的だったのです。この作品以外ではほとんど日本では見かけない女優さんなのですが、同じドラマで共演していたロレッタ・ディヴァインさんと共に、この話題の映画に出演していたことが、物語の設定とリンクして泣けてきたのでした。
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