氷の微笑

その後、続編の製作予定がされていたのですが、一度は見送られたのです。でも出演予定だったシャロン・ストーンさんが中止になった映画の出演料の1400万ドルの支払いを求める裁判を起こし、約3年にわたる彼女の努力の結果(おいおい)、低予算ながらプロデューサーの方々が泣く泣くこの映画を作ることになってしまったみたいです。
そして14年後に作られた続編の情報を見ていると、プロデューサーがお金をケチったためなのか?マイケル・ダグラスさんの出演もなく、シャロン・ストーンさん以外はほとんど知らないような俳優さんしか出演していない寂しいクレジットとなっていたのです。でも、今回の彼女の相手役はデヴィッド・モリッシーさんが演じる精神分析医マイケル・グラス博士という設定なのです(彼が出演を断ったため、こんな嫌がらせの様な役名にしたのかな〜?)。
ということで、プロデューサーさんのやけくそ気味な行動や、50歳目前にしたシャロン・ストーンさんのセクシー路線を前面に押し出した宣伝展開からはB級映画の匂いがぷんぷんしたので、この映画は見逃してはいけない作品だ!と思ったaliasなのでした(どんな基準で映画を選んでるんだ?)。
物語は、暴走していた一台の車がロンドンのティムズ川に転落し、人気サッカー選手が溺死するところから始まる。同乗していたのは、彼女の周りではいつも不可解な死がまつわることで世間からも注目を浴びていた女性作家のキャサリンだった。これまでの事件には確かな証拠がなかったため、狡猾な彼女は一度も実刑にはなっていなかったが、刑事たちから見れば完全に黒の容疑者だった。刑事たちは彼女の行動心理を知るために精神分析医であるマイケル・グラスを送り込むが、逆に彼はキャサリンの言動に振り回され始める。そして…。
シャロン・ストーンさんのお色気ムービーということで、映画の冒頭からサッカー選手が彼女の股間に手を埋めて走行中の車の中で絡み合うシーンで始まるのです。そして彼女が絶頂を迎えた瞬間、車が川へ転落するという古いB級ホラー映画などにありがちな笑撃オープニングなのでした。
今回のシャロン・ストーンさんは48歳とは思えないような肢体を披露していました。顔に出るシワから年齢を感じさせるのですが、足や背中を露出した服装から20代のような美しい肌が見えるのです。彼女の普段からの節制やトレーニングなど、不断の努力の結果なのかな?と思っていたのですが、資料を見ているとVFX技術スタッフの努力の結果だったみたいです(たぶんCG予算の大部分は彼女のシワやシミ消しに使われてしまったのです)。
なのですが、周りで次々に起こる連続殺人事件により動揺する精神分析医の心理描写、彼女に翻弄されて崩れていく精神状態、追い込まれていく切迫感など、オープニングのシーンを除いては緊迫感があふれる映画となっていたのです。そして最近では見かけないような“羊たちの沈黙”や“ツイン・ピークス”などの古いタイプのサスペンスな展開に意外と引き込まれてしまいました。
すでに14年も経っている作品なのに、最初の作品を観ていないと分かりにくい物語の展開のさせ方や、物語の収束のさせ方に納得いかないものがあったのですが、氷の微笑としての続編ではなく、キャスティング変更していたら、もっと良質な作品になっていたかもしれないという残念な作品でした(なのですが、ビッチな悪役を演じるシャロンストーンさんはやっぱりうまいのです)。
ということで、B級映画と決めつけて映画を観に行ったaliasには意外と楽しめた作品なのでした。
氷の微笑 2 アンレイテッド・エディション
