2006年11月16日

嫌われ松子の一生

 この映画を撮影したのは、見渡す限り田んぼだらけの田舎町として画かれる茨城県下妻を舞台にした“下妻物語”の中島哲也監督なのです。

下妻物語といえば、ロリータファッションの原点である18世紀フランスのロココ調について延々と語るナレーションや、ジャージ天国のヤンキーな町と誤解を受けるような設定されている兵庫県尼崎市、マンガのひとコマを切り出してきたような映像などで画かれる、ロリータファッションを愛する少女と地元のヤンキーな姉ちゃんという対称的で個性的な二人の女の子の青春映画物語なのでした。

コントラストの強いカラフルな映像も印象的でしたが、コミカルでいて疾走するように展開する瞬く間に終わる作品だったのです。そんな物語はラストシーンの深田恭子さんの演技で腰砕けになってしまったのですが、監督の世界観が好きだったaliasはこの映画を観てみたのです。


 物語は、太ってぼろぼろになった松子が東京の河原で何者かに殺され、死体で発見されるところから始まる。ぼろ屋敷のようなアパートで暮らしていた彼女は、近所付き合いもせず太った嫌われ者のおばちゃんとして周りから認識されていた。田舎の親戚からも縁を切られていたため、彼女の存在を知らなかった東京に住む甥が、使われることのなくなった彼女のアパートの整理を頼まれた。ごみ溜めのようなアパートを片付けていると、刑事たちや彼女の死を聞きつけて集まってきた人々により、彼女の破天荒な過去が語り始められる。そして…。


 中谷美紀さんが演じたのは、男を見る目がないのに必死に愛を求め続けた女の物語なのです。エピソードで、教師を首になり、ソープ嬢に身を落とし、ひもの男を殺したことで刑務所に入れられ、ヤクザの女になるという目も当てられないような転落人生を画くのですが、エピソードごとに豪華キャストを配し(参考:片平なぎさ、柴咲コウ、宮藤官九郎、谷原章介、武田真治、伊勢谷友介、劇団ひとり)、ミュージカル調に進むこの演出は(参考:BONNIE PINK、木村カエラ、AI)、映画の中から悲壮感を排し、明るく楽しく彼女の人生を凝縮するように物語を展開させていくのです。

で、色鮮やかな映像でコミカルに展開する映画なのですが、冒頭で画かれる松子の悲惨な死という前提があるため、すべては色あせても見えてしまうのです(監督の意図した結果なのかも?)。


 この映画は昔のおもちゃ箱を開けたような映画でした。その中の一つひとつのおもちゃを手に取ると当時の懐かしい思い出や歴史などが走馬灯のようによみがえって来るのですが、今ではホコリをかぶっていたり少し壊れてしまっていたりするのです。なので、結局はおもちゃ箱の中からは出されずに、再び物置の奥へとしまわれてしまうような、さびしさが感じられるのです。


 ということで、楽しかった映画のはずなのに、エンドロールが流れる頃にはむなしく感傷的になってしまったaliasなのでした。



嫌われ松子の一生 通常版
嫌われ松子の一生 通常版



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