2006年10月08日

ワールド・トレード・センター

 この物語は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件を画いた作品です。この事件では旅客機そのものを凶器にしたテロ行為が行なわれましたが、この作品はニューヨーク世界貿易センターのツインビルの大惨事で、倒壊したビルの中から奇跡的に生還した男たちの姿を画く物語なのです。

世界を震撼させた事件から約5年。まだ生々しさが人々の心に残るこの事件、論議され尽くしていないこのテロに対する歴史的考察、そして遺族への配慮。そんなことを考えるとエンターテイメントに部類される映画として作品にするには早すぎるのではないのか?とユナイテッド93のときと同様に思ったのですが、オリバー・ストーン監督の意図を知りたくなり映画館へ足を運んだaliasなのです。


 物語は、いつも通りの勤務に就いていた湾岸警察署のウイル・ヒメノ(マイケル・ペーニャ)が大きな衝撃音を聞くところから始まる。署に戻るとWTCに飛行機が衝突したニュースが流れていた。巡査部長であるジョン・マクローリン(ニコラス・ケイジ)と共に現場へ応援に向かうが、その頃ツインタワービルには2機目の旅客機が追突していた。5名の選抜チームを組みすでに上層階では大火災となっていたビルへ救済に向かうが、二次災害となるビルの崩壊が始まった。そして…。


 今回、映画を担当したオリヴァー・ストーン監督はアメリカ政府などを批判した政治色が強い社会派な作品を撮ることで有名なのです。2001年の大統領選の際は、ジョージ・ウォーカー・ブッシュが当選すれば、アメリカ国内で大規模なテロがおこると公言したことでも有名な人なのです。

なので、どんな風に物語を構築してくるのかと思っていたら、全編129分にも及ぶ長編映画の冒頭の20分ぐらいのところで、救出に向かった隊員たちが何もできないうちにビルが崩れてしまい、その後は外部からの救出を待つという、物語にするには不向きな題材を扱っているのです。さらに実際にあったエピソードを忠実に再現しているため大掛かりな演出もなく、ビルの土砂に埋もれ身動きができない主人公達の会話がメインになるので映像はとても地味になっているのです。そして、主人公達を心配する家族たちの思いなどを絡め物語が展開し、政治色な要素には一切触れないヒューマンドラマな作品に仕上げてきたのです(この監督がこんな作品を撮ったことが逆に驚きなのです)。


 暗闇の中で救助を待つ主人公達の会話と心配する家族の心理描写で展開する地味な物語なのに意外と見ごたえのある映画に上げていることに驚かされ、暗闇の中から助け出される主人公たちが助け出され光の下へ出たときに生命の誕生のよう映し出す演出には感動を覚えるのですが、テロという事実や政治的な背景にはまったくのノータッチで進む作品なので、地震やハリケーンでビルが倒壊したという設定に変えても通じてしまうような脚本になっているのです。

なので、現状ではこれ以上は踏み込めないということが画面を通して伝わってきてしまう時期尚早なテーマだったという印象を受けたaliasなのでした。



ワールド・トレード・センター スペシャル・コレクターズ・エディション
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