2006年10月01日

ホテル・ルワンダ

 この映画は2005年に行なわれた第77回アカデミー賞やゴールデン・グローブ賞などでいくつかの部門にノミネートされるほど評価の高い作品でしたが、そのため日本での買い付け値段が上がってしまったことや主人公たちが日本では無名であること、アフリカで行なわれた大虐殺事件を扱った政治色が強く題材のテーマが重いこと、さらに上映時間が長いことなどさまざまな悪条件が重なったため、当初は国内での配給会社が決まらずに日本での映画館公開は危ぶまれていたのです。

なのですが、“「ホテル・ルワンダ」日本公開を求める会”が2005年6月15日に発足し、インターネットやマスメディアを巻き込む上映嘆願署名運動が行なわれた結果、潟<fィア・スーツさんの配給により同年の10月に、2006年正月第2弾作品として公開されることが決まった作品だったのです。


 物語は、主人公のフツ族であるポール(ドン・チードル)はベルギー人が所有するホテルの副支配人であり、家庭を大切にする男だった。数々のホテルでの経験を生かし彼は裕福な人々、政府関係者、軍の有力者などの重要人物への扱い方も心得ていた。

1993年8月、ルワンダ共和国では内戦の続く多数派のフツ族と少数派のツチ族との間で和平合意がなされた。元々、アフリカ大地には異なる文化を持つ多くの部族がいたが、このフツ族とツチ族は同じ地域に住み共通の言語と同一の伝統を持つ部族であり、二つの間には農耕民族と遊牧民族という差でしかなかった。だが、ドイツやベルギーの植民地化後の政策で二つの部族は差別化されてしまった。一時的に少数派のツチ族たちは入植者により優秀な種族と扱われ、優遇された彼らは恵まれた生活を送ることになるが、共和国として独立した後もその関係が残ってしまったため、フツ族にはツチ族へのわだかまりが残り、二つの部族の対立関係はさらに深まってしまった。

1994年、ラジオから二つの部族の対立をあおるような放送がされていることにツチ族である妻は怯えていたが、一方のポールは楽観視していた。が、4月6日にフツ族であるルワンダの大統領の乗った飛行機が何者かに撃墜される。フツ族の過激派たちはこの殺害をツチ族の陰謀と位置づけ、彼らはツチ族への報復として100万人にも及ぶ大虐殺を始める。そして…。


 この物語におけるホテル・ルワンダとは、国連軍やジャーナリストが宿泊している施設となるため難民たちが逃げ込める場所として設定されているのです。そして暴動を恐れた支配人たちが海外へ脱出したため、最初のポールは家族を救うためにホテルへ避難するはずだったのに、妻に頼りにして逃げてきたツチ族の親戚たちも彼の元へ集まり、最終的に彼はホテルの支配人として1200人以上にも及ぶ難民を預かる立場になってしまうのです。そして部族抹殺が目的であるフツ族の過激派たちに対して、ホテルマンとして培ってきた交渉術やコネなど使って、何とか彼らの攻撃をやり過ごす生活がこの作品では画かれるのです。やがて海外から派遣された部隊の到着することで、彼らは一安心することになるのですが、そこからがこの映画で画かれる第2の問題点となるのです。


 こんなレビューを書いていると堅苦しい話かな?と思われるかもしれませんが、この映画は歴史的事実やニュースを知らない人でも、この映画を観ているだけで自然に理解できる内容になっているのです。そして残酷で暗くなりやすいテーマなのですが、家族愛や困難な状態の中を必死で生き抜く希望が描かれる一級のエンターテイメント作品でもあるのです。

この作品に関しては、虐殺されたとする死者数がその後の人口統計の推移と計算が合わないため、報告されている人数を疑問視する声や、一方に偏った画き方をした作品になっているという批判の声もあるのですが、この映画の目的はアフリカの地でこの虐殺があったことを全世界に伝えるという一点に絞られて作られた映画であると思われます。


 ニュースなどで、「この事故(事件)で、被害にあった日本人はいませんでした」と言うアナウンサーが常套句で伝える言葉がありますが、その言葉は日本人としては安心感を覚える言葉ではあるものの、現地の人々の痛みを伝えない言葉であるということをこの映画で学んだaliasなのでした。



ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション
ホテル・ルワンダ プレミアム・エディション

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【ホテル・ルワンダ】人間は愚かなのか?
Excerpt: 録って見てない映画が何本もある。5/1映画の日にレオ様の『ブラッド・ダイヤモンド』を観て思うところあった為、早く観なければと思っていた『ホテル・ルワンダ』をようやく観れました。 人間は愚かなのでしょ..
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Tracked: 2007-05-27 11:24

ホテル・ルワンダ/テリー・ジョージ/南アフリカ=イギリス=イタリア(2004年)
Excerpt: ドッペルゲンガー いったい何をすれば事態はなくなるのか。 事実だけは認識しておきたい。 ご存知の通り近代において例が無い規模の内戦で、100万人もの死者を出したいたたまれない事実が元になっている。..
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Tracked: 2007-08-03 00:39
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