ということで、この映画には妻夫木聡さんも出演し、彼のハリウッドデビュー作品として大々的に予告やワイドショーなどで彼の出演しているシーンを流していましたが、それが彼のハリウッドデビュー作品の全出演シーンでもあったのです(笑)。
物語は、高校生のショーン・ボスウェル(ルーカス・ブラック)はいつもやり場のない不満を抱えていた。そして、周囲と問題を起こすたびに母親と逃げ出すように転校を重ね、カリフォルニアへ流れ着いた。クラスの中でも浮いていた存在だった彼は同級生との派手なカーチェイスで大事故を起こしてしまった。ついに母親に見放された彼は日本の米軍基地で働いている父親預けられ、車には乗らないことを約束させられる。学生服を着て日本の高校に通う生活が始まるが、友人と街へに出かけたときに、立体駐車場内のスロープを使いレースをしているDK(ドリフト・キング)に出会う。そして…。
題名にも書いてあるのですが、日本が発祥の地とされるドリフトといわれるドライビング・テクニックが重要に扱われる物語なのです。ちなみにドリフトとはカーブに進入した際、遠心力を使いタイヤと地面の摩擦係数の限度を意図的に超えさせて、車体と進行方向にズレが出た状態で車をスライドさせながら車の挙動をコントロールするテクニックのことなのです(余計分かりにくい説明かも?)。
で、狭い日本なのでワイルドにスピードを出せる直線の道路が少ないため、タイトなコーナーなどを走行するために旋回能力を生かしたドリフト走行でレースをする映像が多いのですが、それが技術に裏打ちされた職人芸のようなキレイな走行に見えるので、そのことが映画の画面からワイルドなスピード感を感じさせないのです。さらに、ドリフト走行で峠を攻めるシーンには頭文字Dなどの走り屋の物語で、日本人としては見飽きてしまってもいるのです。
なのですが、東京の中心部で一般車両を強引に追い越しながら、追いつ追われつの公道レースをするシーンがあるのです。普段テレビなどで映し出される東京の町並みがドラマチックに画かれ、この映画最大の見せ場となる迫力ある映像になっていました。さすが石原都知事!こんな危険な撮影に許可をだすのか!!と思っていたのですが、資料を調べてみるとCGで作られた映像だったそうです(この映画の一番の見所だったのに…)。
でも、この映画の本当のお楽しみはそんなカーチェイスや最新型の車、フルチューンされた車が出てくることではないのです。
日本語が話せない主人公なのに詰襟の学生服を着て普通の高校に通ったり(普通はアメリカンスクールとかに通うんじゃ…)、アメリカの軍で働いている父親が下町の古い一戸建ての家に住んでいたり(普通は基地内か、軍から提供されたマンションに住むようなイメージが…)、映画の中で主人公は“ウワバキ”という日本語以外は話さなかったり(この映画では重要なセリフなのです)、これらに代表されるツッコミどころ満載の不自然なシーンが、この映画の最大の見所なのです(おいおい)。
車のバトルシーンも楽しめるのですが、昭和の時代に戻ってしまったような日本に画く不思議なドラマ展開が楽しめる映画なのでした。
ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT
