2006年05月14日

ナイロビの蜂

 この作品の原作はジョン・ル・カレさんが書いたフィクション小説でありながら、ある国のイメージを悪くするということで一時は発禁となった小説が元となっているそうです。

さらに“シティ・オブ・ゴット”のフェルナンド・メイレレス監督がこの作品の監督なのです。ブラジルのリオ・デ・ジャネイロの貧民街シティ・オブ・ゴットで生き抜くためには、幼い少年でも身を守るために銃を持ちギャングにならなければならないという悲しい現実をドキュメンタリータッチで映像作品にしたことだけでも衝撃的な映画だったのに、そこに人間としてのプライドや葛藤など、悲しみとか、憎しみとか、つらさなどの、人の生き様や心理描写をエンターテイメントに仕上げるというとんでもない作品を撮った監督なのです。


 物語は、ケニアの首都ナイロビで英国の外交官を務めるイギリスの庭園のように秩序正しい男ジャスティン(レイフ・ファインズ)と、弁護士で救命活動家であるアフリカの太陽のように情熱的な女性テサ(レイチェル・ワイズ)が出会うところから始まる。情熱的なテサに魅了され、そして二人は結婚し幸せな生活を送っていたが、ナイロビの空港からロキへと旅立った妻が惨殺され永遠に帰って来なくなった。妻の死に不自然なものを感じたジャスティンは彼女が死を迎える直前の軌跡をたどっていくと、彼女が多国籍企業の製薬会社の資料を調べていたことを知る。その企業がアフリカの地で試していた新薬には重大な欠陥があり、後進国でその薬の人体実験をしていた可能性があった。その事実を探ったために妻が殺されたのではないか?彼はその事実を明らかにしようとする。そして…



 この映画は“世界中が絶賛し涙した、壮大なラブストーリー”と、どんな風にでも受け取れる曖昧な言葉で宣伝していたのですが、基本的にはサスペンス仕立てで物語は展開していき、最終的には愛の尊さを知るという話になっているのです。

でも、この監督はドキュメンタリー風に生々しい映像を撮るのはうまいのですが、恋愛のエピソードなどのシーンには魅力がないし、うまく画けていないのです。そして映画の展開として、妻への愛を示すために巨大な陰謀に立ち向かう彼なのですが、少し観点を変えて観てみると、妻は夫の外交官の立場を利用するために偽装結婚したように受け取れてしまうようなシーンもあり、彼が自分の立場を犠牲にしてまで彼女のために戦った理由がある意味惰性にも見えてしまう部分など、登場人物を突き放したような視点で物語が展開していくので、登場人物の誰にも共感がしにくかったのです。

サスペンスとしては面白い映画だったのですが、監督はこの作品を通して愛の物語を画きたかったのではなく、人間という生き物はこんなばかな理由で争ったり、愛し合ったりするんだ!ということを画きたかったのかもしれません。


 とりあえず、この映画でレイチェル・ワイズさんがアカデミー賞で助演女優賞を受賞したのですが、映画を観ている限りでは助演ではなく主演女優にノミネートされるべきなのでは?と思うほど彼女の演技は印象深く素晴らしいものだったので、アカデミー賞の選考基準がますます解らなくなったaliasなのでした。(自己申告制なのかな?)。



ナイロビの蜂
ナイロビの蜂

この記事へのコメント
aliasさん、こんにちは。
連続投稿、失礼します。

レイチェルは助演女優賞だったのですね。
知らなかった。今の今まで主演女優だと思っていた、というか、あれは主演でしょう。

サスペンス要素や社会派映画、そしてラブストーリーまで欲張って狙った節が見受けられましたが、
私はサスペンス部分が思ったよりもあっさりしていたので、
この映画はラブストーリーなんだなぁと解釈していましたが、
単に宣伝文句に踊らされていただけかもしれません。

最近読んだ本に「ロキ」という北欧神話の神様が出てきたのですが、地名の「ロキ」と関係があるのかなぁとか、そんなどうでもいいことが気になったりもしました。
どうでもいい話ばかり、失礼しました。
Posted by ゆづ at 2006年05月26日 00:05
いつもコメントありがとうございます。

レイチェルさんが主演だと言うのにはaliasも賛成なのです(笑)

この作品は、サスペンスと呼ぶには単調すぎて、愛の物語と呼ぶには裏があり過ぎて、
監督が何を画きたかったのか?最後まで“?”な映画でしたね
(でも、心には何かを残す人の生き様を画いた作品でした)。

いろいろ考えさせられた作品でしたが、友人が、
「女にだまされるタイプの男は、大体こんなくそ真面目な男や!」
と、言っていたのが印象的でした
(監督は愛にまつわる人間模様を画きたかっただけなのかもしれません)。
Posted by alias at 2006年05月26日 22:49
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Excerpt: 「ナイロビの蜂」 公式サイト 劇場鑑賞 ゆづの好き度 ★★   (満点は★5個、☆=★×1/2) ? 2006年5月13日初公開  上映時間128分 レイチェル・ワ..
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