前回のマッハでは奪われた仏像を取り戻すために戦いましたが(笑)、
今度は奪われた象さんを取り戻すために戦います(苦笑)。
さらにこの映画の不自然な題名も、悪の巣窟として戦いの舞台となる料理店の名前が“トム・ヤム・クン”だったという安易な名付け方なのです(おいおい)。
マッハや“七人のマッハ”ではタイ国内で撮影され映像やセットなどもかなり安っぽく見えて、かなり低予算で制作されたことがすぐにでも分かる作品だったのですが、今回は海外資本が大きく入ったためにセットや映像も美しくなり、タイ国内だけでなくオーストラリアでのロケも敢行しています。
やっぱりトニーさんの飛び膝蹴りや脳天めがけてヒジうちなど、ムエタイによる迫力ある打撃映像が前回に引き続き大事なポイントなのですが、今回はなぜか本来のムエタイにはない立ち技での関節技で戦うシーンが増えているのです。それを目新しい技として映画の中では大きく扱われ、骨を折る音にはインパクトがあるのですが、その技自体はトニーのアクションを地味に見せてしまう効果を出してしまっているのです。
なので、最近の格闘技界では打撃による立ち技だけのK−1より、オールラウンドで戦うプライドのような関節技がないと生々しく見えないので、目の肥えた観客にアピールするために、ああいったアクション展開になったのかな?と、aliasは勝手に思っていたのです。
でも資料を見てみると、“ムエパノム”という聞いたことすらない格闘技で戦っていたのです。
で、検索してみると、ムエ=キックボクシング、タイ=国名なので、ムエタイの日本語訳はタイのキックボクシングという意味になるのと、トニー・ジャーさんの本名がパノム・イラームさんなので、パノムさんのキックボクシングという意味になるようです。
ブルース・リーさんがジークンドーという総合格闘技を創始したように、この映画でトニー・ジャーさんが創始者となるムエ・パノムを世界へとアピールし始めたのでしょうか?
この映画では監督の新たなる試みとして、実験的なカットなどが多数見受けられました。その中で一番興味を引いたのが、トニーが敵の本拠地に乗り込み塔の中で螺旋階段を登りながら数十人の敵と戦うシーンがあるのですが、それを最近では珍しいワンカメラで5分近くの連続撮影しているのです。昔の日本の時代劇などではそういった殺陣がたくさんありましたが、今のCG全盛期の映画界の中ではけっこう斬新でした(CG、ワイヤー、早回し一切なしと宣伝してるだけあって、生にこだわってる結果なのかも?)。
そういえば、トニージャーさんが来日して、大阪ドームのオリックス×ロッテ戦で始球式をしてたそうですが、同日のヤクルト×巨人戦で、あのボクシングの亀田興毅さんが始球式をしていたので、このことを放送しているスポーツニュースはほとんどなかったのです。
さらに、チェジュウさんの“連理の枝”のジャパンプレミアム、“ダビンチ・コード”の来日記者会見で、この映画のために来日したトニー・ジャーさんの報道しているマスコミはほとんどなかったのです。
面白い映画なのに、こんな宣伝展開でヒットしてくれるのかな?
でも、ヒットして欲しい!(希望)
トム・ヤム・クン! プレミアム・エディション
