物語は、牧師による悪魔払いを受けた後に亡くなってしまった19歳の少女の死を巡る実話で、牧師が過失致死罪で訴えられたところから始まります。
そして彼女の死に至るまでの行動、関係者に漏らしていた言動、医学的見た精神異常という検事側の主張、助けを求めてきた少女のために悪魔払いの儀式を行った牧師と弁護側の主張など、事件に関わった関係者のあらゆる視点による証言で法廷劇が繰り広げられます。検事側は普通に治療を受けていれば彼女は亡くならなかったはずだと主張し、弁護側は彼女には本当に悪魔がついていたと主張します。そして…
この物語はホラー映画と位置付けられていますが、CGを駆使した怪物が出てくるわけでもなく、肉体を蝕まれた少女の苦しみの演技で悪魔を表現するのです。しかし、少し視点を変えてみると病人への虐待としか感じられないような映像なのに、それをホラー仕立ての演出で画いていくのです。
そして中盤以降はこの世のものとは思えないような混沌とした世界観になるのですが、これは現実に起こった事件であり、今でも悪魔払いをしていたときの証拠のテープは残っているのです。
本当の真実は何だったのか?解らなくなる映画でしたが、とりあえず悪魔に取り付かれた役を演じる“ジェニファー・カーペンター”さんの演技に支えられていた映画だという印象でした。
この作品では悪魔払いを巡り、双方が論理的に証明をする法廷劇が行われているのですが、現実の世界でも濡れたネコを電子レンジで乾かそうとした事件で製造メーカーを訴えたり、ファーストフードの食べすぎで太った人がマクドナルドを訴えたりするような前例があったように、ある意味でアメリカの訴訟社会の一面を見たような気がします。映画の中で画かれているようなことがアメリカの法廷内で本当に起こっているのなら、あんな異常な判決が出るのも無理ないよな〜って気分になりました。
エミリー・ローズ デラックス・コレクターズ・エディション

-------------------------------追記----------------------------------------------
そうそう!この映画の予告編がTVで流れていたのですが、その中に2006年の冬に行われたトリノ・オリンピックで金メダルを取った、荒川静香選手の得意技である体を後ろにそらしたイナバウアーに似た映像が使用されていたため、そのテレビスポットを止めろ!と、一般人を装った人からのクレームが殺到してたみたいです(悪魔のイナバウアーと呼ばれていたそうです)。
同じようなことを知り合いの方にも言われたので、そんな無理やりな論理展開をする方には、あの技はしょせん“マトリックス”のパクリじゃん!とお返事することにしています(おいおい)。
>病人への虐待
全くもって、その通りなんですよね。
日本でも「狐憑き」って言葉もあるし、
病気なのに正しい治療が受けられなかった人、
きっといたんだと思います。
日本の裁判員制度は凶悪犯罪に適用されるらしいけれど、
このような事例で裁判員に指名される可能性もあるのかなぁと考えちゃいました。
陪審員制度ってもうすぐ日本でも採用されるんですよね〜。
この映画の中で、検事が証拠を突きつければ、検事の意見が正しく見えてきて、
弁護側が証言すれば、今度は被告人を助けてあげたくなったりしたので、
意志の弱いaliasが陪審員をすれば、他人の意見に振り回されて、たぶん判決は出せそうにないです。