2006年03月05日

ミュンヘン

 予告編を見ていたら、かなり古く見える映像とあまり見かけないような役者ばかりなので、ずいぶん地味な映画だな〜。どうせトリノオリンピック人気に当てこんだ作品だろうと思っていたら、

1994年“シンドラーのリスト”、1998年“プライベート・ライアン”に続くスティーヴン・スピルバーグの衝撃の最新作、第78回アカデミー賞主要5部門ノミネート

だそうです。宣伝文句に負けて観てきました。


 物語は冒頭で、この映画は史実に基づいた物語であるとの前書きから始まります。

1972年9月5日のミュンヘンオリンピック開催中のさなか、パレスチナゲリラ“ブラック・セッテンバー”(黒い九月)によるイスラエル選手団への襲撃事件が起こった。全世界へと中継されたこの事件の結末は人質となった選手団11名の全員死亡。これに対してイスラエル秘密情報機関である“モサド”が出した答えは、逃げた実行犯の11名への報復。

そして暗殺者として選ばれたのは軍の経験はあるが戦場に出た事や人を殺したことも無く、そして身重の妻がいるアブナー。5名の暗殺チームに抜擢された彼は祖国のためにリーダーを引き受ける。そして彼らは身元を隠すために家族と国家からは消えてしまった存在の人間となる。

はじめは、暗殺という重大な任務を引き受けたにもかかわらず、暗殺者の末路についてのジョークがでるようなまだ人間的な部分を持ちつづけるチームで、彼らは一般人は傷つけないを誓っていた。

情報を多額の金額で集め、スタイリッシュに暗殺は実行されていったが、回数を重ねるごとに大きくなっていく人を殺すことへの罪悪感、暗殺遂行中にどうしても一般人に被害を及ぼしてしまう現状、少しずつ曖昧になる人間としての境界線。

そして暗殺計画が進んでいくたびに、今度は自分が相手から調べられ殺しの標的となり追い詰められていく。はじめはジョークで話していた暗殺者の末路の話がだんだん現実となり、そして壊れて分からなくなっていく自分の中の人間性。そして…。


 物語は史実を元にしていますが、ラストシーンの演出仕方や、設定に多少の脚色などが施されているため右派、左派の両方から非難される作品となってしまいました。この作品は問題提起をしたドキュメンタリー的な作品になっていますが、NHKで放送していたプロジェクトXように、シンプルに暗殺者の緻密な計画や心を画いたエンターテイメント作品となっています(不謹慎な言い方をしていますが、素直に思った感想です)。2時間44分にもわたる物語だったのに、飽きることなく鮮烈なイメージを残してこの映画は終わっていきました。


 今までに数多くのエンターテイメント作品を作り上げてきたスピルバーグさんの映画は、シンドラーのリストやプライベート・ライアンといった事実を元にした難解な衝撃作もありましたが、最近は“激突!”や“JAWS/ジョーズ”の頃の初期作品のように年々シンプルで分かりやすい作品を作り出してきているように思えます(例:宇宙戦争)。年老いてしまった老人が子供ような精神状態に戻るように、監督も初期の作品へと原点回帰してきているのでしょうか?



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Excerpt: ヤッパリ、スピルバーグは悪趣味だね。 だから、好きなんだけどね(笑) ネタバレありです。
Weblog: オイラの妄想感想日記
Tracked: 2006-03-30 07:42
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