力道山さんと言われても(若い世代で“りきどうざん”と読める人はどれくらいいるんだろ?)、aliasが生まれた頃にはすでに亡くなっていたし、その弟子だったアントニオ猪木さんやジャイアント馬場さんはまだ現役でしたが、すでにピークの頃を過ぎていたのです。
その力道山さんがはじめて日本にプロレスを持ち込み日本プロレスという団体を旗揚げしましたが、
その後、猪木さんの新日本プロレス、馬場さんの全日本プロレスの二大勢力に人気を奪われ、
1990年代には前田明さんなどの影響で、10種類以上のプロレス団体に分裂してしまいました。
そのプロレスもいまや“K−1”や“プライド”などの総合格闘技系に人気が奪われてしまい、プロレスラーの名前どころか、団体名すら知らない人の方が多くなってしまいましたが、いまだに力道山さんは韓国の人やプロレスファンからは名前が出てくるヒーロなようです。
格闘技界では、アンディー・フグさんの踵おとしや、グレイシー柔術のタックルや馬乗りのように、世間が知らない技や見た事もないような必殺技に魅せられファンになる人が多いのですが、力道山さんにも“空手チョップ”という斬新な必殺技がありました。
何が新しい技だったのか?というと、元力士だった力道山さんが張り手を出すのと同じ軌道でチョップを出すという目新しさもあり、プロレスでは人間の一番弱い部分である首を攻撃するには普通は首をしめるしかないのですが、チョークをいう反則になり5秒以上は攻撃できなかったのです。それを力道山さんはこの空手チョップで首を攻撃するという反則にならない有効な攻撃を生み出したという斬新さがありました。
物語は力道山さんが朝鮮籍のために力士の弟子時代に日本人からいじめられていた頃から、彼が亡くなるまでのエピソードが画かれるのですが、当時をありのままの格闘技スタイルで映像化しているので、総合格闘技などを普段から見ているaliasにとってはプロレスで戦う映像がどうしても迫力に欠ける部分がありましたし、ソル・ギョングさんもこの映画のために28kgも体重を増量させたそうですが、それほどプロレスラーっぽく見えないのです。そして10人近くの相撲取りが全力で走るシーンがあったのですが、その映像に一番迫力があったかもしれません(おいおい)。
同じような人物再現映画で、昨年に公開された “Ray”というレイ・チャールズさんの作品がアカデミー賞に輝きましたが、その中にはお金へのこだわりや女に対するだらしなさなど、栄光だけでなく日に当たらない暗い影の部分も画かれていたのですが、この映画でもヤクザとかかわる闇の部分も画かれるのですが、それほど深くまで掘り下げることも無かったので、その当時を知っている人々はこの映画をリアルに感じることができたのでしょうか?(そもそも日本をターゲットにした映画ではないのかも?)
日韓共同で作られた作品なので、日本人キャストがたくさん出ているのですが、中谷美紀さんや荻原聖人さんより、谷町役だった(谷町とはスポンサー、パトロンの事です)藤竜也さんの演技は迫力があったのでソル・ギョングさんより目立っていたかもしれません。
そういえば、監督のソン・へソンさんが韓国の人だったためなのか、第二次世界大戦頃の街並みが、まるで東映太秦映画村や日光江戸村のような街並みだったので、時代設定間違えてるで!と思っていたのですが、わずか50年ほど前でも少し田舎に行ったら、そのような風景だったのかもしれませんね。
いつの日かアントニオ猪木さんで同じような映画が制作されたら(ジャイアント馬場さんでは地味なのでたぶん映画にならないと思います)、一家でブラジルに渡った頃から物語は始まり、力道山さんの死、新日本プロレスの旗揚げまでを前半で画き、そこから熊殺しの空手家ウイリー・ウイリアムさんやボクシングヘビー級チャンピオンのモハメド・アリさんとの戦いを栄光の時代と位置付けして、その後ハルク・ホーガンさんに負けるものの、最後は湾岸戦争直前にイラクに赴き在留日本人の開放したところで終わらせて、最後のエンドロールで年末の格闘技大会を定着付けた男と紹介されて、
1・2・3・だぁー!
で、終わっていくんだろうな〜。
きっと、アントンハイセルの失敗や、永久機関の開発をしたと公言したことで、世間や金融業界を騒がせたことは隠されてしまうのでしょうね(そんなことを知ってる人のほうが少ないと思います)。
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力道山さんはそれほど時代を象徴するようなヒーローだったんですね〜。
aliasは文字でしか彼の栄光を知ることができなかったので、そんな時代を体験してみたかったです。