この物語はアメリカにおける銃による犯罪、人種問題、貧富格差などをいくつかの独立したエピソードでそれぞれ人物に焦点を当てながら画いていくのです。普通の人間が当たり前のようにいだく世の中の不公平感、銃や暴力による町の治安への不安、家族の看護で疲れてしまった毎日の生活感、仕事と私生活で変わってしまう倫理観、そして愛する人々とのすれ違い。そういった少しずつ人の中に溜まった不満をどこかで晴らした時、また別の人間を不幸に貶めてしまったりする事への悲しさ。そんな独立したエピソードが互いに少しずつ影響し始め、そして最後はクラッシュという形で、ひとつの物語になっていくのです。
こんな解説では何のことやら?と思われている人も多いかもしれませんが、暗いテーマなのに説教くさくもなく重過ぎる展開でもないのに、最後には人の心に何かを残す作品なのです。
ポール・ハギスさんの脚本にはハリウッドでは定評があり、サンドラ・ブロックさんなど多くの役者さんが出演の売り込みに来ていたと言われるだけあって、有名な役者さんだけでなく普段見かけない海外ドラマなどで活躍している演技派の方たちも多数出演していました。現在撮影中のクリント・イーストウッドさんと再び組んで制作している“硫黄島”や次回作以降の作品が楽しみな人なのです。
でも、ポール・ハギスさんが
クラッシュ
